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1999 年度 実績報告書

ヒラメ地域集団の生理生態的分化と遺伝的分化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10460087
研究機関京都大学

研究代表者

田中 克  京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20155170)

研究分担者 木下 泉  高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (60225000)
青海 忠久  福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (10144338)
西田 睦  東京大学, 海洋研究所・生物資源学部, 教授 (90136896)
山本 栄一  鳥取県水産試験場, 栽培漁業部, 研究員
荒井 修亮  京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (20252497)
キーワードヒラメ / 地域個体群 / 生理生態的 / 遺伝的分化 / 閉鎖循環式水槽 / ミトコンドリアDNA
研究概要

ミトコンドリアDNA調節領域の塩基配列分析を昨年度の定点に加え,これまで分析個体数の少なかった北海道,データの欠けていた宮崎・高知・三重,さらには朝鮮半島南部及び中国青島南部海域より入手したヒラメについて実施した.新潟県佐渡島産ヒラメのデータ(Fujii and Nishida,1997)を含め,これまでに得られた全データ(15ヶ所)についてmtDNAハプロタイプ組成を調べるとともに,Fstによる地域的な異質性に検討を加えた.その結果,中国産ヒラメを含め採集点間に有意な遺伝的異質性は認められなかったが,佐渡島と他の多くの地点間には微妙な差異が確認された.これらの結果は,北西太平洋海域に分布するヒラメは全体としては遺伝的に均質な大集団を形成しているとみなされるが,局所的には微妙な遺伝的分化が生じている可能性も示唆している.一方,朝鮮半島南部で採集されたヒラメのmtDNA塩基配列は個体間でほとんど差異がなく,人工種苗に由来する個体が大部分と考えられた.
飼育実験により地域個体群間の仔稚魚期の成長ポテンシャルに検討を加えた.岩手県宮古湾産及び熊本県天草産のヒラメをそれぞれ北方冷水性個体群及び南方暖水性個体群の代表に選び,それらの受精卵を京都大学附属水産実験所(舞鶴市)に輸送し,ふ化から変態完了まで14,18,22℃の水温条件下で閉鎖循環式水槽を用いて飼育した.その結果,宮古産ヒラメ仔魚の成長は14℃区では熊本産より高い傾向が認められた.さらに,18℃で変態完了まで飼育したヒラメ稚魚を10,14,18,22,26,30℃の水温下で体長50mmになるまで飼育を行った結果,稚魚期においても低水温区では宮古湾産のヒラメの成長が熊本産の成長を上回った.これらの結果は,遺伝的に均質な日本周辺のヒラメの中にも,地域の環境に適応して生理生態的には異なった特徴を持つ可能性を示唆している.

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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