研究課題/領域番号 |
10460089
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
飯田 貴次 宮崎大学, 農学部, 教授 (70159557)
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研究分担者 |
酒井 正博 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20178536)
延頭 真 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80128355)
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キーワード | ストレス / コルチゾール / βエンドルフィン / アドレナリン / 好中球 / 活性酸素 |
研究概要 |
テラビア腹腔内にコルチゾールを投与すると、血中コルチゾール濃度が上昇し、大腸菌死菌接種の刺激により24時間後に鰾内に浸出してくる好中球数は有意に減少した。その浸出好中球の貧食活性および活性酸素産生活性(殺菌活性)もまた低下していた。これらの事象はテラピアに社会的ストレスを与えたときと同じであり、コルチゾールの投与がテラピアのストレスに対する反応を再現することが明らかとなった。さらに、コルチゾール投与魚を使用し、魚病細菌Edwardsiella tardaによる感染試験をすると、コルチゾール非投与魚と比較し明らかに死亡率が高く、さらに保菌率も高いことが示された。ストレスが病気に対する感受性を上昇させるという経験的観察を裏付けることとなった。生殖ホルモンであり、ストレス時に放出されるホルモンでもあるコルチゾールが、直接的にテラピア食細胞の生体防御活性を低下させ、その結果、病気に対する感受性を高めたと考えられる。このようにストレスにより放出されるコルチゾールが病気発生の直接的な引き金になるものと考えられた。 コルチゾール以外にもストレス時に放出されるホルモンはあり、その1つであり、脳下垂体から放出されるβエンドルフィンを腹腔内に接種すると、コルチゾールの食細胞抑制作用とは逆に、ニジマス頭腎食細胞の活性酸素産生活性を高めることが示された。ストレス時に放出されるホルモンにも、食細胞に対してまったく逆の効果を示するものがあることが明らかとなり、ホルモンによる魚類生体防御活性の調節機構の複雑さが示された。 神経伝達物質であるアドレナリンをin vitroでテラピア好中球に感作すると、10^<-30>モルのわずかな濃度でも活性酸素産生活性を抑制することが明らかとなり、魚類においても生体防御活性が神経支配を受けていることが示唆された。
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