1.高密度リポ蛋白質(HDL)-結合蛋白質(HBP): HDLの肝臓への輸送においてHBPは重要な役割を担うことが推定される.ヒト等哺乳動物におけるHBPに関しては、リガンド特性、蛋白質の構造などから3つの型に分けられ、それぞれその遺伝子がクローニングされている.ウナギ肝臓からHDL-トヨパールカラムにより精製されたHBPは、リガンド特性などから、3つの型の1つであるRNA結合蛋白質vigilinとの類似性が示唆された。ウナギ肝臓から精製されたHBPは、主要な蛋白質が分子量14、14.5kDaで、apoAI及びHDLをリガンドとしapoaIIとはほとんど結合しなかった.ウナギHBPは32P-ウナギビテロゲニン(VTG)-mRNAと結合することを、ノース・ウエストブロットにより確認した.14、14.5kDa蛋白質のN-末端アミノ酸配列からプライマーを作成し、PCRにより両蛋白質のcDNAをクローニングしようと試みたが成功しなかった. 2.超低密度リポ蛋白質(VLDL)-結合蛋白質(VBP):ウナギ筋肉中には重量比で15-20%の脂質を含んでいる。リポ蛋白質、特にVLDLは筋肉への脂質輸送を担っていると考えられ、その際VBPは重要な役割を持つことが推定される。VLDL-トヨパールカラムにより筋肉ホモジネートから、分子量30.4、34.2、39.5kDaのVBPが精製された.リガンドブロットの結果から、精製蛋白質はVLDLに強い親和性を、HDLには弱い親和性を示した。 3.ウナギ筋細胞と肝細胞とのco-cultureを行なった。その結果、肝細胞から分泌されたリポ蛋白質の脂質は、リポ蛋白質リパーゼを介した輸送機構と、VLDL-結合蛋白質を介した輸送機構の2つが存在することを示した。 4.ウナギHDL及びVLDLのアポリポ蛋白質に対するモノクローナル抗体を調製した.ApoAI、apoAII及びapoBに対する抗体が得られ、これらは研究遂行上の有効な試薬として利用された。
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