研究課題/領域番号 |
10460097
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田原 高昭 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70002061)
|
研究分担者 |
坂爪 浩史 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80258665)
増田 佳昭 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (80173756)
坂下 明彦 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70170595)
中嶋 信 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90105320)
神田 健策 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10113705)
|
キーワード | 系統農協 / 職能組合 / 農民層分解 / 量販店 / 野菜流通 / 自小作経営 / 産地パック / 多品目産地 |
研究概要 |
WTO体制下において、政策目標、系統農協組織のあり方が大きな変化をみせているが、改めて現在の地域農業の到達点を地域別、品目別に観察し、職能組合としての農協の存立基盤と存立条件を明らかにすることが、本研究の目的である。いわば、農協論の視点から現段階における農民層分解のあり様と農協組織の意義を再検討しようとするものである。 本年度は分担者ごとに担当毎の園芸の調査を実施した。青果物に関しては、輸入野菜の大量流入、量販店の力の強まりによる流通構造の変化、農協合併による産地の再編など、大きな変化がみられる。以下では、北海道の事例研究によってその一端をしめす。調査対象としたのは、水稲複合の産地形成を行い、量販店対応を独自に実施している東川町農協である。地域農業の動向では、一方では高齢農家のリタイアーが進み、15ha規模での水稲単作の自小作経営の割合が増加をみせているが、他方で野菜導入の主導層である10ha未満層の野菜生産は維持され、施設園芸を中心とする多品目産地が形成されている。この層においても、高齢化は進展をみせているが、農協は多様な少量品目を個選共販の形態で維持するために、道外の量販店へのセット販売を実施している。この課程で産地パックが導入され、品揃えのために地場卸売市場からの野菜購入が行われるようになり、そのウェイトは販売額24億円の50%にも達している。このように農協が量販店への卸売機能を有することで、高齢化に対応した少量多品目野菜生産が維持されているのである。この事例は、量販店を主導とする契約栽培型の産地形成という大きな流れの中でのひとつの対応として評価することができる。
|