研究分担者 |
飯澤 理一郎 北海道大学, 農学部, 助教授 (60184339)
寺本 千名夫 専修大学, 北海道短大, 教授 (40258710)
神前 樹利 立教大学, 経済学部, 助教授 (50215175)
甲斐 諭 九州大学, 農学部, 助教授 (70038313)
豊田 隆 筑波大学, 農林学科, 教授 (00142836)
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研究概要 |
1)1年度目は食品産業の概念,寡占化・系列化の定義,データの性格等を吟味した。特に従来の産業組織論を食品産業にあてはめる場合,差別化,市場の成熟化等について異なる特徴を検討した。 2)いわゆる重厚長大型の食用油(大豆油)の日清製油,小麦粉の日清製粉の2工場を見学し,その細かな差別化が,他国の標準と質的に異なることを確認した。しかしそのコストは必ずしも販売価格に反映しておらず,利益の拡大を周辺商品,さらに小売り用の最終製品にまで拡大する実状をみた。このことが中国等への開学進出,投資等の背景にもなっている。 3)一方,すき間産業といわれるカット野菜,中食を対象にしたベンダー等の業界は,この不況下でも唯一売上高をのばしている分野である。福岡で見学した農協系のカット野菜工場は,鍋ものセットも扱いながら,ファーストフードを含むレストラン業務需要や家庭内での調理活動の低下に伴う代替商品への需要によくこたえ,しかもその利益率は相当に高い。最大手のコンビニエンスストアに納める弁当業のベンダーは,コンビニ本部の提供する素材と納入価格のはざまで独自の経営活動が困難ではあるが,着実に納入量が増えるので利益幅の拡大に成功していた。スーパーと比して相対的に高値でも,時間コストを高く評価するコンビニ客に対して供給をよくあわせていた。 4)外食産業はファーストフード店での価格競争の結果,トップ企業のシェアが5%に近づく新しい段階に至っているが,この点の研究は,多国籍化の研究も含めて次年度以降の課題である。
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