研究概要 |
農業システム・農村地域を対象としたLCAの方法論を考察し,(1)農業インプットの基本データの収集・整備,(2)LCAが適用できる農業システムのプロセス区分,(3)各プロセスの物質フローのモデル化,(4)特定地域(流域・行政域など)の「農業・農村」-「環境負荷」を表わす物量単位の設定・空間区分の作成,(5)LCA比較シナリオの設定,(5)GISを用いた地域農業システムのLCAの実施を,基本的アプローチとして整理した。このうち,本年度は(1)データ収集・整備,(4)「農業・農村」-「環境負荷」単位の設定・空間区分と(5)比較シナリオの設定を中心に次のような調査研究を実施した。 (1) 農業インプットである肥料についてのライフサイクルにわたるエネルギー消費・環境負荷のデータのうち肥料原料採取段階,肥料製造段階のものについて,海外調査・メーカーへのヒアリングを含めて収集した。 (4) 茨城県出島地域を対象に現地調査を併用しつつ,リモセンデータを用いた作付けパターン区分とその空間分布に関する検討を行い,既存土地利用図との合成分析による精度効果の確認,具体的作業手順の概要を整理した(リモセンによる分析結果として発表予定)。 (5) 農業システムのうち,本研究におけるLCA比較シナリオが作成できる体系について考察し,わが国における循環型農業と一般農業,ヨーロッパの有機農業と在来農業に関する情報収集を行った(ドイツの有機農業について発表予定)。このうち,循環型農業に関しては流域環境管理の視点から,地域空間としての物質フロー分析が必要であることを認識し,具体的なデータについて比較シナリオを想定した検討を試み,LCAによる評価が重要であることを確認した(地域資源の循環利用方策として発表済)。
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