本研究課題「せん断帯における粒状材料の運動メカニズムに対する実験・解析的アプローチ」を遂行するため、アルミ棒積層体を用いた落し戸実験とその解析を行うが、本年度は実験装置、および解析装置のシステム整備を目的とした。初年度設備備品として、落し戸実験装置、非接触型変位測定システム、ワークステーション、各一式を導入した。 本年度はまず、アルミ棒積層体を試料として、落し戸実験装置の予備実験を行った。すなわち、既存の設備備品である、高速ビデオ装置を用いて実験画像を入力し、非接触型変位測定装置において粒子移動の観測に関するキャリブレーションを行った。同時に、ワークステーション上にUNIXシステムを構築し、ネットワーク接続などのソフトウェア整備をはかった。このワークステーションには、有限要素法やセルラオートマトンモデルを用いた数値解析プログラムを移植し、現象に相応した境界値問題の予備解析を行った。一方、非接触型変位測定装置において高速ビデオ装置に収録された画像データは、種々の解析が可能となるように数値データに変換され、ワークステーション上で結果を図化処理するポストプロセッサ処理システムもあわせて構築した。こうした数値解析システムの整備をはかるとともに、せん断帯発生機構に関する既往の文献調査を行って、既存のモデルを総括して現象に応じたモデル化を確立するとともに、次年度における実験および解析の詳細計画を立案した。
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