本年度は、アルミ棒積層体による2次元落し戸実験と実験画像の解析を行うとともに、連結格子セルオートマトン(CL-CA)のローカルルールを拡張した。アルミ棒の径は3種類とり、均等径および混合径にて実験を実施した。高速ビデオにより10秒間粒子挙動を撮影し、画像をパソコンで処理することにより、粒子中心の軌跡と変位を非接触で観測した。一方、解析にあたっては、個別要素法とセルオートマトンによった。本研究で扱うセルオートマトンモデルは、研究代表者と共同研究者とにより提案された「連結格子セルオートマトン(Connected Lattice-Cellular Automata:CL-CA)」であり、従来のCAに比ベ、異なる粒子の大きさやさまざまな初期パッキングを扱うことが可能となり、数値計算に要する時間もきわめて短いことも特徴のひとつである。粒状体に関するCAのローカルルールは、従来ではホッパーフローのような重力流動だけを扱っていた。本年度の研究において、一般的なせん断条件を記述する目的で、落し戸に関していえば、ドアを上昇させる受働モードのローカルルールを新たに提案した。均等径粒子群について、このルールに基づいた数値解析を行い、ルールの有効性と結果の妥当性を検討した。落し戸実験の実験画像との比較により、新しいルールの下で粒子群の挙動をよく再現できることを確認した。また、接触力分布を推定する新しい考え方を導入し、個別要素法による結果と比較し、その対比を検討した。
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