新しい原理に基づいたかんがい施設の開発に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10460109
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 西山 壮一 山口大学, 農学部, 教授 (80036045)
• 研究分担者: 深田 三夫 山口大学, 農学部, 助教授 (20116750) ; 矢野 友久 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (80032085) ; 日下 達郎 山口大学, 農学部, 教授 (50038238) ; 谷 宏 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80142701) ; 加治佐 隆光 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60177376)
• キーワード: 曲がり管 / 流量計 / 水田流出 / バイパス流 / 水理設計 / 放射温度計 / 溜池漏水 / かんがい時期

研究概要

1)ため池の漏水調査
ため池の保全は、基幹施設の管理のみならず、地域防災上重要である。ため池の漏水を低コスト且つ高精度で探査するシステムを完成させた。山口県のため池でその可能性を確かめた。約4mのアルミ製の部材に等間隔に4個の放射温度計を設置し、両端をそれぞれ1人で持ち、天端から下流へと移動する。そして、データロガーに記録して、コンピュータに出力するシステムである。きわめて、迅速に測定が可能なため、精度に及ぼす気象条件の影響を小さくしている。
2)S字曲がり管の流量計への応用
曲がり管内外の水頭差は遠心力によるもので、そのまま損失水頭ではない。90度曲がり管しかしながら、S字管は流れ方向が変らない。S字管の内側と外側をバアイパス回路で結び、バイパス流量と本管の流量の関係などの水理特性を明らかにして、S字曲がり管を用いた流量計の設計手法を提示した。
また、現場において、種々の課題が生じた。その解決を試みた。特に、ゴミが混入して、支障が生じる場合がある。S字および90度曲がり管を用いて、それぞれバイパス流の取り出し位置を、ゴミが入りにくい場所に変更した。その場合、両取り出位置における水頭差が小さくなるので、その水圧差を増大する手法を試みた。さらにその場合の水理特性を明らかにするとともに、水理設計手法を提示した。なお、水圧差を増大する方法についても、種々の形について詳細な実験を行ない、検討を行なった。
3)水田からの流出解析
水田の流出特性について、新しい考えを導入した。
4)衛星データによるかんがい時期判定の試み
かんがい時期判定のための日射量を推定する方法を示した。

研究成果

• [文献書誌] 西山壮一: "マイクロ潅漑システムの水理設計"農業土木学会誌. 68(10). 35-40 (2000)
• [文献書誌] Yuri Ermolin,Vladislav Ermolin and Takamitsu Kajisa: "Errors in Measuring the Flow Discharge in a trapzoidal Open Canal"Rural and Environmental Engineering. No.39,. 74-81 (2000)
• [文献書誌] Takamitsu Kajisa and Yuri Ermolin: "The Stabilized Answer of Diffusion Equation for Unsteady 3-D Unsaturated Subsurface Flow Analysis"Proceedings of the International Agricultural Engineering Conference 2000,A.I.T.Bangkok, Thailand,. 351-358 (2000)
• [文献書誌] 西山壮一,日下達朗,深田三夫,藤本範,長尾直樹: "ため池の整備に関する研究"農業土木学会中国四国支部講演会講演要旨. 第55回. 97-99 (2000)
• [文献書誌] M.Z.Abedin,Hiroji Yokose,Soichi Nishiyama,Jyuichi Maoka: "Design of Sprinkler Irrigation System for Uniform Flow Using Orifices in Risers"Transactions of JSIDRE. No.211.(in press). (2001)
• [文献書誌] M.Z.Abedin,Hiroji Yokose,Koichi Iyanage,Soichi Nishiyama.: "Hydraulic Analysis and Design of Sprinkler Irrigation System by Unsteady Flow Method"Transactions of JSIDRE. No.212.(in press). (2001)