研究課題/領域番号 |
10460113
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
木谷 収 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00024539)
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研究分担者 |
鳥居 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60172227)
丸山 利輔 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90026451)
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キーワード | 膜被覆 / 植物 / 蒸散量 / 水需要 / 繊維被膜 |
研究概要 |
植物の葉面の一部を膜で覆って蒸散を抑え、水需要を低減させることができるかを明らかにし、少ない水で作物を栽培する技術を開発することが本研究の目的である。先ず被覆膜としてパラフィン膜、植物油膜、繊維被膜を試みた。葉の形態、表面性状の異なるイネ、バラ、ポトス、アイビー、ストック等に被覆材を塗布しデジタルマイクロスコープで観察したところ、パラフィンは気孔を塞ぎ、植物油膜は安定せず、繊維被膜は部分的に気孔を避けて安定した膜を作ることが可能であった。ただしイネの葉は接着剤をつけた繊維をはじいてしまい安定した被覆を作ることができなかった。繊維被膜は牛乳パック繊維を40%含む故紙パルプをホモジナイザーで破砕し、その後、ろ紙を使って水をろ過し、これを無水エタノールに接着剤(1-Hexadecanol)を溶かしたものとよく混ぜ合わせた液を塗布して作った。 蒸散量の測定は、2つの塩化カルシウム法と総重量法で行った。ストックの場合、日射の大小による蒸散量の変動はあるものの、常に繊維膜被覆をしたときの方が蒸散が減っており、総量として27.3%の減少となった。キンギョソウも類似の傾向を示し、被覆による蒸散の低下が常にみられ、総蒸散量の減少は19.1%に達した。膜被覆の有無の蒸散量への影響は5%の危険率で有意であった。 また、はつかだいこんについて、繊維被膜を葉の表裏、表のみ、裏のみにそれぞれ施して日蒸散量と最後の植物体重量(光合成量)を計測、無被覆群と比較したところ、表裏を覆ったときは、平均日蒸散量が23%減少したが、植物体重量も25%減少した。表面及び裏面のみ被覆の場合には平均日蒸散量がそれぞれ1.5%及び10%増加し、植物体重量がそれぞれ16.8%及び3.7%増加した。このような結果が、植物の補償機能によるものかどうか、試験を継続中である。
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