研究課題/領域番号 |
10460113
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業機械学
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
木谷 収 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00024539)
|
研究分担者 |
鳥居 徹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60172227)
川西 啓文 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60139053)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2001
|
キーワード | 膜被覆 / 植物 / 蒸散量 / 水需要 / 繊維被膜 / Dry land farming |
研究概要 |
植物は蒸散による体温調節、養分や代謝物質の移送、光合成物質の転流のため水を必要としているが、植物体の一部を膜被覆することによって、その光合成機能をあまり低下させることなく蒸発散を抑えて水分要求を低下させることが少なくとも一部の植物では可能と考えられる。本研究では有機廃棄素材を用いた繊維膜被覆によって気孔をできるだけ塞がないようにしながら、少ない水で作物を育てられる技術の開発を目的として行っているものである。本年度は、これまでに開発した微細繊維皮膜で葉全面を覆って、蒸散量、光合成速度、植物体重量、植物体温度の変化、水分要求量などを計測する実験を行った。光合成速度計は、アクリル製チャンバーとCO_2計とを組み合わせて試作した。また、植物に繊維皮膜を付けるにあたっては、スプレーヤーとダスターを組み合わせて均質で能率的な方法を用いた。また、作物として、中国の乾燥地の草本類からソウムシ(Melicotus albus)を入手して試験に加えた。冬期の試験では、光合成速度は16.7%低下したのに対し、蒸散量は、わずか1.8%しか減少しなかった。現在引き続き実験を継続中である。草本類のラディッシュでは、繊維被膜によって平均11.2%蒸散量が減少し、光合成の減少は認められなかった。しかしイネでは、生長期の前半には概ね被覆による水需要の低減が認められたが、後半には傾向が逆転した。また光合成が明らかに阻害された。木本類のバラでは、危険率5%で繊維被膜による蒸散量に有意の減少がみられた。このように、繊維被膜によって概ね蒸散量は減少するものの、その程度及び蒸散量と光合成の関係には、植物の種類間で大きな違いがある。現在実験を継続して、その原因を究明しようとしている。
|