研究課題/領域番号 |
10460114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蔵田 憲次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90161736)
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研究分担者 |
荊木 康臣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50242160)
富士原 和宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30211535)
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キーワード | 不定胚 / ニンジン / 共焦点レーザー顕微鏡 / レーシオイメージング法 / fluo-3 / Fura red |
研究概要 |
昨年度の解析で、培養細胞内および不定胚内のカルシウムイオン濃度分布を共焦点レーザー顕微鏡によるレーシオイメージング法によって観察する基本的方法を確立した。しかし、昨年度の方法では、次の疑問点が残った。すなわち、細胞内に蛍光プローブ(fluo-3およびFura Red)を導入するために、それぞれのプローブのAM体とジギトニン(界面活性剤)の両者を使用したため、 一端細胞内に入ったプローブがその後、細胞外に排出された可能性がある。そこで、本年度は、ジギトニンだけを用いることにした。また、不定胚が形成されない培養系での観察もあわせて行い、不定胚形成過程での観察と対比した。以下の結果が得られた。 1.カルシウムイオンバッファーキットを用いた in vitro キャリブレーションを行ったが、細胞・不定胚の観察から得られたレーシオ値はキャリブレーションの範囲を逸脱するものもあった。 2.不定胚形成過程のレーシオ値のヒストグラムは、培養日数の経過とともに、レーシオ値が高い方(濃度の高い方)に変化した。一方、不定胚が形成されない系ではヒストグラムに変化は認められなかった。 3.不定胚形成過程の細胞塊内あるいは不定胚内のカルシウムイオン濃度分布は3つのタイプに分類できた。昨年の結果も3つのタイプに分類できたが、タイプの内容が異なる。これは、はじめに述べたように昨年度の結果はプローブが排出された可能性があるためである。タイプAは、全体に濃度が低いタイプ、タイプBは細胞壁の部分の濃度が低く、細胞質の濃度が高く、1つ1つの細胞が識別できるタイプ、タイプCは、全体に濃度が高いが特に核の濃度が高いタイプである。不定胚形成の進行ともに、タイプAからタイプBを経て、タイプCへと変化した。
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