研究概要 |
本年度は、ブタ糞便中で優勢と思われる嫌気性細菌のうちで、L-メチオニンから揮発性硫化物を発生させる能力を示すものを検索した。あらかじめ、菌株保存機関より基準株を購入し、メチオニンを1%添加したGAM培地で培養した。さらに、硫化水素生成能を基準に新たにブタ糞便より単離した細菌について16SrRNA遺伝子の解析によって菌種の同定を行った。この実験で用いた菌株は、Enterobacter属,Escherichia属,Klebsiella属,Bacteroides属,Prevotella属,Selenomonas属,Fusobacterium属,Desulfovibrio属,Acidaminococcus属,Megasphaera属,Enterococcus属,Peptostreptococcus属,Streptococcus属,Clostridium属,Lactobacillus属,Bifidobacterium属,Corynebacterium属,Eubacterium属の41種44菌株であった。 これらのうち、Bacteroides属,Clostridium属,Desulfovibrio属の培養で硫化水素が検出された。さらに、C.sporogenes JCM1416,C.bifermentans JCM 1386,Fusobacterium necrophorum JCM3716の培養で著量のメタンチオールの蓄積が見られた。しかし、硫化メチルはどの培養でもほとんど検出されなかった。 ブタ糞便より分離した硫酸還元菌は、高い硫化水素生成能カを示した。16SrRNA遺伝子の部分塩基配列を解読したところ、D.fairfieldensis,D.intestinalis,Desulfomonas pigraと相同性を示したが、新種である可能性が示唆された。
|