研究概要 |
家畜糞便から発生するメタンチオールや硫化水素は集約的な畜産業における環境問題を引き起こしている。家畜糞便に存在していると思われる43細菌標準株からClostridium sporogenes,C.bifermentans,C.perfringens,C.butyricum,Streptococcus bovis,Peptostreptococcus hydrogenalis,Bacteroides thetaiotaomicron,Klebsiella pneumoniae,Fusobacterium necroforumを有力なメチオニン分解メタンチオール生産菌として同定した。また、ブタ糞便よりC.perfringens1株を優勢なメタンチオール生産菌としてあらたに単離した。一方、すべてがL-システィンから硫化水素を生成し、とくにクロストリジムとB.thetaiotaomicronが顕著であった。これらからクロストリジウム属の細菌が主要な悪臭細菌であると結論した。これらの細菌が発生させた硫化物を分解消臭する細菌をAlcaligenes faecalis、Comamonas testosteroni、Pseudomonas putidaおよび硫化ジメチル集積培地で集積後単離した豚舎土壌由来の従属栄養細菌197株から検索した。このうちC.testosteroniと野生株1株が硫化水素分解能を顕著に示した。次にブタ糞便を排泄直後に採取し、あらかじめ増殖させたこれらの菌液を糞便に一定量加え23時間25℃で放置後、臭気官能試験を行った。臭気指数は対照26が、C.testosteroni添加21、野生株菌液10ml添加19.5、20ml添加20.5まで減少した。この単離菌は芽胞性グラム陽性桿菌で、16SrRNA遺伝子の配列からBacillus thuringiensisに近縁であった。
|