研究課題/領域番号 |
10460129
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福田 勝洋 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10012022)
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研究分担者 |
蛭薙 観順 名古屋大学, 博物館, 助教授 (00126898)
松田 洋一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70165835)
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キーワード | 4倍体 / マウス / 初期胚 / 細胞分裂抑制 / サイトカラシンB / 細胞融合 |
研究概要 |
マウス初期胚は細胞分裂の抑制により容易に倍数体胚(4倍体胚)となり発生を続けるが、個体として生まれることはない。In vitroで4倍体胚は生存することから、細胞としては生存可能で、分化過程で個体形成が阻害されると考えられる。形態形成異常の原因として細胞の体積と表面積の比率の低下や細胞周期の遅延が推測されている。昨年度までの研究で、培養下初期胚の微速度連続撮影により4倍体での細胞周期の遅延が確かめられたが、細胞分裂抑制時の初期胚では、1細胞内に2核、3核あるいは4核となったり、核の大型化など、多様な核が生じた。こうした核の解析には細胞分裂中期で止め展開した染色体を見る核型解析法があるが、細胞周期の分裂間期において形態の明らかな核で染色体の倍加を調べることはできない。今年度においては、4倍体化したマウス初期胚で染色体倍加の確認にFISH法を適用し、初期胚でのFISH法の新たな利用法の開発を試みた。また、緑色の蛍光を発するGFP遺伝子導入マウスから4倍体胚を作り、2倍体胚とのキメラとして、その後の発生を追った。その結果、MHCクラスII領域由来で長さ約50kbのBACクローンを用いたダイレクトR-バンディングFISH法では、対照の2倍体胚で染色体上でシグナルとしてシングルドットが2個みられたのに対して4倍体胚の細胞でシングルドットが4個認められ、4倍体の確認方法としてFISH法の有用性が確かめられ、今後の利用に道を開いた。また、4倍体GFPマウスと2倍体マウスとのキメラ胚の発生を追ったところ、4倍体細胞の大部分は胎盤など胎子外組織となり、胎子になるのはごく僅かであることが明らかとなった。 今後は、組織細胞レベルで胎外組織と胎子での4倍体胚の消長を追跡し、化学物質の細胞分裂抑制により作出された4倍体と電気刺激の細胞融合能により作出された4倍体との比較検討を行うとともに、電顕による微細構造の変化を検討する。
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