研究概要 |
1. ウシ膵臓のGRF様物質とGH様物質の塩基配列の決定 ウシ膵臓よりmRNAを抽出して,RT-PCR法でウシ膵GRFとウシ膵GHのcDNAを増幅した。GRFのプライマーにはヒト視床下部GRFとヒト膵GRFとウシ視床下部GRFのmRNA塩基配列をもとに設計した。また,GHのプライマーにはGH・PRLファミリーのウシGH,ウシPRL,ウシPL,サケSL,ニワトリGH,ニワトリPRLのmRNAの塩基配列をもとに設計した。設計したGRFおよびGH・PRLファミリーのプライマーでは,いずれもウシ膵臓のGRF様およびGH様物質のcDNAは増幅されなかった。しかし,ウシ視床下部GRFcDNAと下垂体のGHcDNAはウシ視床下部GRFとウシGHのプライマーによって増幅された。また,ウシ胎盤のPLcDNAはウシPLのプライマーによって増幅された。 2. GRF、GH・PRLファミリー、IGFの局在 ウシ膵臓の抗GRF陽性細胞は膵ポリペプチド(PP)細胞に局在していた。抗GH陽性細胞はA細胞に一致していた。また、A細胞は抗PRL,抗SL,抗PLの抗体に陽性反応を示した。IGFは大膵島には存在せず、膵島細胞ではA細胞に、外分泌部では導管系の細胞に局在していた。 以上の結果よりウシの膵臓のA細胞に局在するGH様物質は、GH・PRLファミリーの共通のアミノ酸配列をもつと考えられる。それゆえ、GH・PRLの祖先型のプライマーの設計が必要と考えられる。また、ヒトの膵臓GRFと視床下部GRFの塩基配列の相同率が63%であることから、ウシ膵臓GRFのプライマーの設計が必要と考えられる。
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