研究概要 |
(i)触媒としてDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)とDBTDL(ジ-n-ブチル錫ジラウリン酸)を用い、タンニンモデル化合物と等モルのフェニルイソシアナート(PI)を反応せしめ、反応初速度を求めた。その結果,DABCOはカテコール型及びレゾルシノール型水酸基のウレタン化に触媒活性を示が,DBTDLはアルコール性水酸基に効果を示すことが明らかになった。 (ii)やや複雑なモデル化合物として(+)カテキンを選択し、反応生成物を精査した。その結果、DABCO触媒存在下では先ずカテキンのB環水酸基が反応し、PI投与量を増し反応時間を長くすれば、A環水酸基も反応した。しかし、3-位のアルコール性水酸基はDABCO触媒の存在下では生成しなかった。一方、DBTDL触媒を用いた場合にはカテキン-ジブチル錫錯体の形成のため、反応性は著しく低下することを明らかにした。この知見に基づき、カテコール水酸基をブロックした後にDBTDL触媒存在下に反応させ、全水酸基をウレタン化することができた。 (iii)スギ樹皮タンニンの液化のため、ポリエチレングリコール400中で亜硫酸水素ナトリウム水溶液による処理を開発した。反応温度250Cにおいて、内・外樹皮ともに高い液化率が得られたが、リグニン含量の多い外樹皮では長時間の処理でリグニン・タンニンの再縮合が生じた。処理時に、外樹皮中の縮合型タンニンの少なくとも一部は芳香核単位まで分解することが示された。スギ樹皮の液化物の水酸基価測定法として、錫-アミンの混合触媒を用いるイソシアナート法を開発、得られる水酸基価に基づいて樹皮液化混合物から比較的低密度のウレタンフォームが調製可能であった。
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