スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、アスコルビン酸パーオキシダーゼ(APX)が、植物体内で酸素ストレスに対し時期特異的、組織特異的に応答する分子機構を解明する目的で、核遺伝子中の各分子種に対応するプロモーターを含む遺伝子の5'末上流構造の解析(シス因子)と同時に、遺伝子に作用する核内因子(トランス因子)を明確にすることを目的に研究を進めた。また、酸素ストレス関連酵素の遺伝子の単離・解析も進めた。 その結果、本年度は以下に示す成果を得た。 1) イネ鉄型スーパーオキシドディスムターゼ(Fe-SOD)のcDNAの単離・構造解析とその発現様式を明らかにした。 2) 植物アスコルビン酸パーオキシダーゼ(APX)の遺伝子発現制御にとって過酸化水素が重要な因子であることが判明した。 3) イネのグリオキシゾーマル局在のリンゴ酸脱水素酵素cDNAの単離と構造解析を終了した。 4) イネグルタチオン還元酵素(GR)の遺伝子構造解析と発現機構を調査し、単離したGRは細胞質局在型のものであることを明らかとした。
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