研究概要 |
緑の蛍光を発するグリーンフルオレッセンスプロテイン(GFP)をMDCK細胞やCHO細胞にリポフェクション法により導入しその発現を蛍光顕微鏡下に確認した.発現したGPFは細胞内に局在していた.次に生体内の臓器への遺伝子導入のために,ピンセット型電極を備えたエレクトロポレーション装置を用いてラットの臓器への遺伝子導入を試みた.導入した遺伝子の発現を確認するためにはGPFを用いた.ラットを麻酔下に開腹し,肝臓をピンセット型電極で挟み込み,その間にDNA溶液を注射し,同時に様々な条件で電気パルスを与えた.このようにしてGPFを導入した肝臓のスライスを通常の蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡で観察しGPFの局在分布と発現強度を定量的に観察した.さらに電気パルス処理によって壊死した細胞を同じ標本を用いて観察した.導入効率は電気パルス数を増すと増加するが飽和した.一方細胞の損傷は電気パルス数を増すと増加した.電圧を上げるとは導入効率は最初増加するがその後低下し,最適電圧が存在した.さらに注入するDNA量を増やすと導入効率は向上した.このような方法により,最小の組織細胞損傷のもとに最も効率よく遺伝子導入がはかれる条件を肝臓で確立した.腎臓についても同様の方法で検討を加えている.
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