研究概要 |
肝への糖輸送体遺伝子の導入,発現実験には,GLUT1,GLUT3,GLUT4,GLUT5,SGLT1についておこない,レーザー共焦点顕微鏡により局在を検討した.GLUT1は肝細胞の類洞側細胞膜(基底側壁部細胞膜)に局在した.GLUT4は細胞質中に散在性に局在した.GLUT3とGLUT5は肝細胞膜全周にわたって分布したが,特に毛細胆管細胞膜(頂部細胞膜)に濃縮する傾向がみられた.SGLT1は毛細胆管細胞膜に局在した.これらの点をさらに確認するために二種の遺伝子を同一の細胞に導入して共発現させ,その局在の違いを検討した.GLUT1/GLUT4,GLUT3/GLUT4,GLUT1/GLTUT3,GLUT1/GLUT5等の発現結果と比較すると,基底側壁部蛋白のGLUT1では同様だったが,頂部細胞膜蛋白のGLUT3やGLUT5では頂部が多いものの基底側壁部にも分布した.これはトランスサイトシスによる頂部蛋白のトラフィッキングを示唆している.さらにラット肝臓でほぼ確立したエレクトロポレーション法の条件を準用して,ラット腎臓へ遺伝子導入をおこない,GFP発現をマーカーとしてのその効率を検討した.腎臓では血流の違いのためか,確実に導入遺伝子の発現を得る条件は未だ見出していない.腎臓と並行して極性を持った臓器細胞からなる膵臓への遺伝子導入を試みている.
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