肝臓とは異なる細胞内輸送系を持つと考えられている膵臓を用いて、膜蛋白質である糖輸送体GLUTの局在を検討した。膵臓は、肝臓に比べてエレクトロポレーション時の組織へのダメージが大きいので、導入の条件をGFPゴンストラクトの導入をモデル系としてさらに改良した。糖輸送体のなかでも、GLUT4は細胞内の核上部の細胞質にひろく分布した。微分干渉像と比較すると、チモーゲン顆粒のある部位に相当し、顆粒膜へのターゲッティングが示唆された。アミラーゼ等との蛍光多重染色を試みたが、断定的な結果は得られなかった。そこで、ポストエンベッディング酵素抗体免疫電顕法を用いてオルガネラレベルで観察し、分泌顆粒にあるのを示した。即ち、生体内で調節性分泌をおこなう高度に分化した外分泌細胞にGLUT4を発現させると分泌顆粒膜に保持されるのが明らかになった。こは心臓のANP分泌細胞で、GLUT4が顆粒膜へターゲティングされるのと類似の機構が働くためと推定された。これは、GLUT4の細胞内局在が、一般的に調節性分泌経路へのターゲティングによるであろうことを示唆している。さらに糖輸送体よりは構造の簡単な膜蛋白である水チャネル(アクアポリン)についても、生体エレクトロポレーション法により、ラット肝臓、膵臓へ導入してその局在を検討中である。
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