研究課題/領域番号 |
10470004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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研究分担者 |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 助手 (30232341)
成瀬 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20113326)
森 千里 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90174375)
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キーワード | 四肢原基 / 分化 / 形態形成 / 指奇形 / プログラム細胞死 / アポトーシス / リモデリング / メタロプロテアーゼ |
研究概要 |
1) マウス胎児の四肢形成過程におけるプログラム細胞死をナイルブルーによる生体染色ならびにTUNEL法によるDNA断片化の検出法によって調べた。遺伝性の多指をもつミュータントマウスFdn(Folydactyly Nagoya)の胎児四肢原基におけるアポトーシスの発現様式とその経時的変化を調べ、野生型マウス胎児における所見と比較したところ、胎児四肢で起るプログラム細胞死は、指を分離させる役割のほかに、指の長さを規定し、軸前部および軸後部における過剰指(多指)の発現を抑制するという役割を担っていることが明らかになった。また、Pdnマウス胎児四肢原基におけるアポトーシスの発現様式がヒト胚子の多指初期像に類似していることから、Fdnマウスの多指がヒトの多指のモデルになりうることがわかった。 2) マウス胎児四肢原基において、FGF受容体を指標として血管の変化と指の分離について検討した。その結果、指間部の細胞死の一部がその部分の血管の細胞死であることが確認されたことから、指の血管の形成にもプログラム細胞死が関与していることが明かになった。現在、更に詳しいメカニズムを解析している。 3) マウス四肢原基における基底膜分解酵素メタロプロテアーゼ(MMP)の発現と局在を免疫組織化学的ならびに分子生物学的に調べたところ、胎児の指が分離する際にある種のMMPが時期特異的に発現していることが確認され、指が分離する際の指間部の基底膜の変化にMMPが関与していると考えられた。 4) マウス胎児口蓋の培養系で、アポトーシスの発現に関与するCasoaseの阻害薬(YVAD-CHO,DEVD-CHOなど)を培地に添加してプログラム細胞死を阻害しても、口蓋の癒合ほ正常に起こった。このことから、口蓋の癒合にプログラム細胞死が必須ではないと考えられた。同様の実験を、四肢原基の器官培養系で継続中である。
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