ヒト体内時計の2振動体構造:概日リズムと睡眠覚醒リズムの共役と振動局在

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10470014
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 本間 研一 北海道大学, 医学部, 教授 (40113625)
• 研究分担者: 勝野 由美子 北海道大学, 医学部, 助手 (80177419) ; 本間 さと 北海道大学, 医学部, 助教授 (20142713)
• キーワード: 睡眠覚醒リズム / メラトニンリズム / ヒト / 非光同調 / 移行期 / 内的脱同調 / リズム共役 / 振動体

研究概要

健康成人を対象として、睡眠覚醒リズムの位相を非光因子(低照度下の強制的睡眠覚醒スケジュール)で1〜8日間固定し、フリーランしている概日リズム(血中メラトニンリズムと直腸温リズム)から強制的に脱同調さた(脱同調パラダイム)。その後非光因子を除外し、睡眠覚醒リズムもフリーランさせた(5日間)。睡眠相固定解除後、概日リズムと睡眠覚醒リズムが内的な同調関係を再確立する過程(移行期)を解析した。
1) 睡眠覚醒リズムの非光同調
長期間(8日間)の睡眠相固定で、睡眠覚醒リズムは概日リズムから脱同調し、非光同調因子に単独で同調した。同時に測定した血中メラトニンリズムは非光同調因子には同調しなかったが、そのフリーラン周期は睡眠相固定により有意に変化し、非光因子が概日リズムに弱いながらも影響することが示された。
2) 睡眠覚醒リズムと概日リズムの再同調
非光因子により内的脱同調をおこした睡眠覚醒リズムと概日リズムは、固定解除後のフリーランで再同調したが、再同調には3〜4日の移行期を必要とした。再同調は睡眠覚醒リズムの位相が大きく変化することにより達成された。睡眠覚醒リズムの位相変化の大きさは、内的脱同調時の睡眠と血中メラトニンリズムの位相差に依存した。
3) 非光同調における移行期
睡眠相固定期間を4日、1日と短縮したときの、睡眠覚醒リズムの非光同調の有無を血中メラトニンリズムとの内的脱同調の有無により判定した。その結果、4日の睡眠相固定では約半数の被験者で非光同調が観察されたが、1日の固定では非光同調を示した被験者はいなかった。

研究成果

• [文献書誌] Hashimoto,S.,et al.: "Free-running of plasma melatonin rhythm prior to full manifestation of a non-24-hour slee-wake syndrome." Psychiat.Clin.Neurosci.,. 52. 139-141 (1998)
• [文献書誌] Murata,J.,et al.: "Twenty-four-hour rhythm of melatonin circadian rhythm in patients with a history of pineal and/or hypothalamo-neurohypophyseal germinoma." J.Pineal Res.25. 159-166 (1998)
• [文献書誌] Honma,K.,et al.: "Sleep-Wake Disorders," Plenum,New York,45-52 (1998)
• [文献書誌] K.Honma and S.Honma: "Circadian Clcok and Entrainment" Hokkaido Univ.Press,Sapporo,101-113 (1998)