研究概要 |
拘束による摂食抑制と視床下部セロトニン動態:ラツト拘束ストレスによりその後3時間にわたり摂食量が有意に抑制された。この摂食抑制はセロトニン受容体の阻害剤である methysergide の前投与によって有意に阻害できた。またセロトニン1A 受容体のアゴニストである 8-OH-DPAT の前投与によっても有意に阻害できた.拘束ストレス時の視床下部外側野におけるセロトニンの動態を脳マイクロダイアリシス法により解析した.その結果,拘束ストレスによってセロトニンの放出が有意に増加するが,このセロトニンの拘束ストレスによる放出促進も 8-OH-DPAT の前投与によって有意に減弱した.これらの結果は,拘束ストレスによってひき起される摂食抑制は,背側縫線核から視床下部へ至るセロトニン神経系の賦活に起因すると考えられる.すなわち,8-OH-DPAT の前処置による視床下部セロトニンの放出抑制はセロトニンオートレセプター(セロトニン1A受容体)を介した背側縫線核細胞群の活動抑制によると考えられる. 拘束ストレスによる脾臓交感神経終末からのノルアドレナリン放出:マイクロダイアリシス法を用いて無麻酔・無拘束脾臓ラツトのノルアドレナリンの動態を解析した.拘束ストレスにより脾臓のノルアドレナリンの放出は短潜時で有意に増加した.このノルアドレナリンの遊離促進は脾臓交感神経を予め切除することにより消失することから,脾臓交感神経末端より遊離されたノルアドレナリンを反映していると考えられる.この結果は,拘束ストレス時における脾臓 NK 細胞活性の抑制が,脾臓交感神経からのノルアドレナリンの遊離に起因するものであると考えられる.
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