体温調節反応形成に関わる中枢神経系機能地図の作成

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10470016
• 研究機関: 京都工芸繊維大学
• 研究代表者: 清原 壽一 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50071874)
• 研究分担者: 宮田 清司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (30243124) ; 中島 敏博 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (30128136)
• キーワード: 体温調節 / c-Fos / 体温調節行動 / 脳機能地図 / 神経回路

研究概要

種々の温度情報を統合して体温調節反応を発現させるための神経回路網や、環境温度変化への中枢神経系の適応機構については、ほとんど解明されていない。本研究ではニューロン活動のマーカーとして、プロトオンコジーンであるc-fosに着目し、種々の体温調節反応を発現している神経系においてc-fosを免疫組織学的に発現させ、調節反応の形成に関わる中枢神経系機能地図を作成することを目的とした。
1.発熱物質投与刺激による脳内でのFos発見変化
ラットに発熱物質投与刺激するとその発現部位は視策上核や前視床下部を中心とする視床下部、中脳や延髄、脊髄など、広い部分に広がっていたが、海馬、大脳皮質、視索前野におけるc-Fosの発現変化を、特に下垂体後葉については形態変化を中心に検討した。c-Fosの発現には新規な発現は観察されなかった。
2.カイコを使った温度受容機構の解析
哺乳動物のニューロンの温度受容機構において、特異的なナトリウムチャンネルが関与しているという証拠があるが、カイコではカルシウム依存性のカリウムチャンネルガ関与していることを明らかにした。また、温度下降する時にカルシウムスパイクを発生している。
3、環境温変化に対する体温調節行動
暑熱逃避行動学習時の脳内機構を調べる目的で、オペラント行動学習装置の作成と、予備的実験を行った。暑熱逃避行動の学習は非常に早く、学習過程の検討には課題をもっと複雑にする必要があるなどの問題点を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] S.Miyata: "Time course of Fos and Fras expression in the hypothalamic supraoptic neurons during chronis osmotic stimulation"Molecular Brain Research . 1 (in press). (2001)
• [文献書誌] S.Miyata: "Plasticity of neurohypophysial terminals with increased hormonal release during dehydration : ultrastructural and biochemical analyses"The Journal of Comparative Neurology. 434 (in press). (2001)
• [文献書誌] W.Matsunaga: "Astrocytic Fos exprssion in the rat posterior pituitary following LPS administration"Brain Research. (in press). (2001)
• [文献書誌] S.Miyata: "Expression of the IgLON cell adhesion molecules, Kilon and OBCAM, in the hypothalamic magnocellular neurons"The Journal of Comparative Neurology . 424. 74-85 (2000)
• [文献書誌] S.Miyata: "Calbindin-D28K and calretinin in the rat posterior pituitary : Light and electron microscopic localization and upregulation "Journal of Neurocytology. 29. 5-17 (2000)
• [文献書誌] W.Matsunaga: "LPS-induced Fos expression in oxytocin and vasopressin neurons of the rat hypothalamus"Brain Research . 858. 9-18 (2000)