研究概要 |
購入したマイクロベッセルパーフージョンシステムによるマウス腸間膜動脈(径100μm以下)の血管運動測定をおこなった。α-受容体刺激薬であるphenylephrineおよび血管平滑筋細胞膜電位脱分極を惹起する高カリウム液(40mM)による血管収縮は、CCDカメラによって明瞭にディスプレー画面に映出されて目視が可能であり、また、適切に設定されたエッジデテクターによって収縮(内腔の狭小化)がディジタルもしくはアナログで記録された。 血管内皮由来弛緩因子、すなわち、EDNO、PGI_2およびEDHFの関与の度合いを知る目的で行った検討では、acetylcholineで誘発した内皮依存性弛緩反応はEDNO合成阻害薬およびPGI_2産生酵素阻害薬の前処置によりかなり減弱するすることが明らかとなった。ラット腸間膜動脈本幹(径1mm)ではEDNOとEDHFによる反応はほぼ同程度に内皮依存性弛緩に関与し、より細い分枝(径 0.5mm)ではEDHFによる弛緩が強くなることを報告しているが(TomiokaH.et al., J.Vascular Res., 36:311,1999)、マウス腸間膜動脈主幹ではEDNOによる弛緩反応の関与が大きい様に思われる。 したがって、血管径が血管内皮由来弛緩因子の関与の度合いを決定する要因の一つであるが、そこに種差があるかもしれない。更なる検討が必要である。
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