研究概要 |
[I]ラット孤束核系[1]圧受容器-大動脈減圧神経-孤束核-尾側腹外側延髄DOPA性圧受容情報伝達投射系:(1)孤束核電気的破壊は,尾側・吻側腹外側延髄DOPA組織含量を減少した.(2)大動脈神経間歇刺激は同側尾側腹外側延髄微量透析間にDOPA遊離を反復一定して誘発した.(3)圧受容器刺激は同DOPA遊離を誘発し,この遊離は孤束核降圧部の急性電気的破壊により消失した.[2]孤束核単離細胞パッチクランプ,DOPA自体のhigh voltage activated(HVA)Ca2+チャネル電流促進作用:DOPA0.1-1mMはDOPA ME-感受性(1mM)に,HVA Ca2+チャネル電流を最大50%増大した.[II]脳虚血・遅発性神経細胞因子DOPAの証明:内因性遊離DOPAは脳虚血グルタミン酸遊離-遅発性神経細胞死の上流因子である:4血管閉塞脳虚血モデル線条体微量透析系において,(1)虚血はDA,グルタミン酸遊離の増大を伴って,DOPA遊離を増大した.線条体に軽度,海馬に中等度〜軽度の遅発性神経細胞死が生じた.(2)強力・比較的安定なDOPA競合的拮抗薬DOPA CHEの虚血前線条体内灌流は,用量依存性にグルタミン酸遊離を抑制(最大抑制80%),線条体遅発性神経細胞死を保護した.[III]DOPAトランスポーター系:(1)種々の動物組織由来polyA+RNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入,[14C]DOPAの取り込み活性を測定し,ウサギ小腸上皮が最も高い活性を示した.DOPA輸送部位は中性塩基性アミノ酸輸送体の基質特異性を有し,適合するアミノ酸輸送系はb0,+系あるいはy+L系であった.(2)アンチセンスの結果はrBATが同DOPA取り込み活性の必須因子であることを示した.一方,ラット中枢におけるDOPA取り込み部位は視床下部正中隆起外側,同視索上核,孤束核,小脳バーグマングリア,海馬等に見られた.海馬における取り込みは50%程度Na+,Cl--依存性画分を有していた。
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