研究課題/領域番号 |
10470034
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森 正敬 熊本大学, 医学部, 教授 (40009650)
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研究分担者 |
矢野 正人 熊本大学, 医学部, 助手
寺田 和豊 熊本大学, 医学部, 講師 (00253724)
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キーワード | ミトコンドリア / プレ配列 / 前駆体 / 膜透過 / 分子シャペロン / Tom20 / Tom34 |
研究概要 |
ミトコンドリアタンパク質の多くはサイトソルにおいてプレ配列を持つ前駆体として合成されミトコンドリアに移行する。サイトソルで翻訳された前駆体がミトコンドリアの二重膜を透過するためには、不適切な凝集を防ぎ、膜透過に適したlooseな構造を保つ必要がある。我々は、この過程にhsc70-dj2分子シャペロン系が働いていることをin vitro移行実験系を用いて明らかにした。一方、哺乳類のミトコンドリア外膜上には前駆体の受容体であるTom20が働いている。Tom20は酵母で見出されている受容体因子であるが、一次構造上の相同性は低く、ヒトTom20に見いだされるQ-richドメインは酵母や赤パンカビのTom20には存在しない。我々はin vitroおよび培養細胞を用いた実験系を用いてこのドメインの役割を解析した。その結果Q-richドメインは、オルニチントランスカルバミラーゼ前駆体(pOTC)のプレ配列をもつGFP融合タンパク質(pOTC-GFP)の結合に必要であったが、pOTCでは必要なかった。これとは別に、培養細胞でヒトTom20を過剰発現させると核近傍にミトコンドリアが集積する現象が観察された。この集積にもヒトTom20のQ-richドメインが必要であった。Tom34は酵母のTomにしばしば見出されるモチーフを検索した結果得られた受容体候補である。Tom34は酵母には見出されず、哺乳類に存在する新規なインポート因子と考えられる。Tom34に対する抗体は種々の前駆体タンパク質のin vitroでのミトコンドリア移行を阻害した。Tom34培養細胞に過剰発現させると、前駆体のミトコンドリア輸送が阻害された。
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