研究概要 |
本研究では、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)とホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP)の二つの酵素を検討した。両者ともに当研究室で最初に精製と分子クローニングを報告した酵素であり、脂質合成系に加えシグナル伝達系の制御にも関与している。我々は9種のDGKアイソザイム中、α,γ,δ型をクローン化命名した。また4種のヒトPAP中、2a、2b型を最初にクローン化命名している。 DGKについては、従来頻用されてきた酵素阻害剤(R59022など)が、I型(DGK-α,β,γ)の酵素に選択性を持つことを報告した。またDGK-δのC-末端に保存されているSAMドメインがER-局在化シグナルとして働くことが分かり、現在本酵素のゴルジ膜形成への関与を調べている。当研究室の坂根講師が米国ユタ大学プレスコット研において、各種DGKアイソザイムのKOマウス作製に成功しており、3月帰国後、当研究室でもKOマウス解析を続行する予定である。 PAPについては、PAP-2bを培養細胞に発現させ、本酵素が細胞膜に局在し、細胞外のLPAを分解するエクト型酵素であることを示した。PAP-2bは非カベオラ性のラフトに存在するが、機能的に関連するホスホリパーゼDの表面膜ミクロドメインにおける存在形態も併せ比較検討中である。PAP-2aKOマウス作製については、まだ成功していない。
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