研究課題/領域番号 |
10470038
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 孝雄 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80127092)
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研究分担者 |
谷口 雅彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70260346)
和泉 孝志 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70232361)
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キーワード | 神経細胞 / 脂質メディエーター / ホスホリバーゼA2 / リゾホスファチジン酸 / 血小板活性化因子 |
研究概要 |
神経細胞はシナプス活動に加えて、グリア細胞との相互作用によりその再生や障害への防衛を行っている神経細胞の生死を作用する因子の中で、特にグリア細胞由来の脂質メディエーターに注目し、以下の研究成果を得た。種々の細胞で産生されるリゾホスファチジン酸(LPA)はアストロサイトを主要な標的細胞として作用し、アストロサイトの増殖の他、神経栄養因子(ニューロトロフィン、BDNF),サイトカイン、インターフェロンなどを産生する。また、神経細胞に特異的に発現するリゾホスファチジン酸受容体を単離した。本受容体はGタンパク質共約型受容体であり、嗅球、大脳皮質、小脳プルキニエ細胞などに発現しており、これのリガンド同定、シグナルの解析を進めている。神経細胞からはグルタミン酸刺激により血小板活性化因子が産生され、これは周囲のミクログリアに作用し、ミクログリアは神経細胞へ向けての遊走現象を起こすことを始めて見いだした。遊走現象にはMAPキナーゼが関与しているものと考えられた。遊走したミクログリアの機能については解析を進めている。さらに、PAF受容体欠損マウス、脂質メディエーターの産生の鍵を握るホスホリパーゼA2欠損マウスを作成し、各種遺伝的背景のマウスとの交配により遺伝的純化を進めている。これらのマウスを用いた神経細胞の細胞障害からの防衛と再生をを評価するのが今後の残された課題である。
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