研究課題/領域番号 |
10470039
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島田 和典 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40037354)
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研究分担者 |
西口 聖治 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90237686)
瀧原 義宏 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (60226967)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 疾患モデル / ノックアウトマウス / rae28遺伝子 / Hox遺伝子 / Nkx2.5 / 神経堤 / CATCH22症候群 / 先天性心疾患 |
研究概要 |
形態形成を制御する遺伝子rae28のノックアウトマウスが多彩な臓器の形成不全を示し、CATCH22症候群に酷似していることを報告した。CATCH22症候群の病因遺伝子や発症機構は不明なのでこのマウスを用いてCATCH22症候群の発症に至る分子機構の解明を進めて以下の結果を得た。 1)胎令9.5及び10.5日のマウスは心臓のルーピング異常を示した。胎令9.5日のマウス心臓ではNkx2.5遺伝子の発現レベルが顕著に減少しており、この遺伝子の制御下にあるANF、MLV2v、Hand1遺伝子等、複数の遺伝子の発現領域、発現レベルも変化していることを見いだした。しかし、胎令8.5日のマウス心臓ではNkx2.5遺伝子の発現レベルの有為な変化は観察されなかった。 2)Hoxb3やHoxb4遺伝子の発現領域はノックアウトマウスの菱脳、神経堤細胞において、前後軸に添って、前方に移動していた。神経堤細胞の分化と関連するHoxb3遺伝子の発現レベル、発現領域の変化を発生段階を遡って解析した結果、発現は、発生初期には正常であったが、菱脳で胎令10.5日、鰓弓で9.5日から異所性発現を示すことを明らかにした。 3)ノックアウトマウスの心臓ではNkx2.5遺伝子の発現レベルが低下しており、心奇形との関連が示唆されたが、Nkx2.5遺伝子を高発現しているトランスジェニックマウスとの交配で心奇形の一部が正常復帰することを示す予備的結果を得た。 4)ヒトrae28遺伝子を単離、構造解析をした。 以上の結果、本モデルマウスではHoxb3遺伝子の発現異常と心臓におけるNkx2.5の発現低下がCATCH22症候群様症状の発症に関わっている可能性を示し、先天性疾患の発症機構解明につながる有力な手掛かりと考えられる。
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