研究課題/領域番号 |
10470048
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
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研究分担者 |
里見 進 東北大学, 医学研究科, 教授 (00154120)
眞鍋 昇 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80243070)
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
八重樫 弘 東北大学, 医学研究科, 助手 (40182290)
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キーワード | 胆管細胞癌 / p53 / mdm2 / 遺伝子不安定性 / マイクロサテライト |
研究概要 |
昨年に引き続き基礎的データの蓄積のため、肝内胆管癌(ICC)の遺伝子変異について検討を重ねた。戦時中に使用された血管造影剤トロトラスト(ト)がICCの発生に大きな役割を演じている。ト症ICCでは癌抑制遺伝子p53のA→G transitionが多いが、非ト症例ではp53変異の頻度は少ないことを昨年までに明らかにした。12年度はさらに、非ト症ICCにおいてp53遺伝子変異のない症例に、p53蛋白の機能を阻害するmdm2遺伝子増幅がみられること、mdm2遺伝子増幅は免疫染色による蛋白量の陽性とよく相関することが明らかとなった。p53遺伝子変異とmdm2高発現を合わせると、半数以上の症例でp53異常が存在することを明らかにした。ICCの発癌にp53異常が大きな役割を演じていることが明らかとなった。また、ト症のp53変異がtransitionであるため、p53遺伝子変異が遺伝子不安定性に起因していると考えられたため、マイクロサテライト不安定性を検討した。その結果、マイクロサテライト不安定性は70%以上の症例にみられること、DNAミスマッチ修復遺伝子のhMLH1,hMSH2遺伝子プロモーター領域のメチル化が関与しているが、トの沈着量が少なく、発癌までに長期を要した症例におおいことが判明した。非ト症ではマイクロサテライト不安定性はト症の1/3の症例であるが、これらの症例にはp53変異が少ないことも明らかとなった。以上から、ICC発癌過程には遺伝子不安定を介する症例とそうでない症例が存在することが明らかとなった。
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