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1998 年度 実績報告書

慢性関節リウマチ関節軟骨破壊の分子病理

研究課題

研究課題/領域番号 10470051
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

岡田 保典  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)

キーワード慢性関節リウマチ / 関節軟骨破壊 / マトリックスメタロプロテアーゼ / TIMP / 局在 / 変形性関節症 / 関節液
研究概要

慢性関節リウマチ(RA)の関節軟骨破壊経路は、(1)関節液中の酵素による軟骨表層からのマトリックス分解、(2)滑膜やパンヌス組織の直接接触による軟骨破壊、(3)軟骨細胞自体による破壊、の3つに分けることができる。本研究課題では、これら3経路におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の作用機序を重点的に検討するとともに、RA関節軟骨の病理組織評価基準を確立する。本年度の研究成果は以下の通りである。
(1). RAと変形性関節症(OA)患者関節液中のMMP-1,2,3,7,8,9,13とTIMP-1,2の濃度を測定したところ、RAではMMP-1,2,3,8,9およびTIMP-1の産生量がOAより 2^-5倍高値であった。各症例におけるRAのMMP/TIMPモル比の平均値は40であり、OAより有意に4倍高値であった。各種インヒビター存在下でのカルボキシメチル化トランスフェリン分解活性はRAで全症例に検出され、MMP/TIMPモル比と正の相関を示した。これらのことから、RA関節液ではMMP優位の状態であると考えられた。
(2). 滑膜組織での潜在型MMP-2活性化率は、RAとOAで正常滑膜より有意に高値であった。潜在型MMP-2活性化酵素であるMT1,2,3,4-MMPの発現を定量的RT-PCRで検討したところ、MT1-MMPが強く発現されていた。また、活性化率とMT1-MMPの発現レベルは正の相関を示した。MT1-MMPはRA滑膜表層細胞に局在し、in situ zymographyで同部にゼラチン分解活性が検出された。RA滑膜表層細胞でのゼラチン分解活性は、滑膜による関節軟骨への直接接触による軟骨マトリックス分解に関与する可能性があると推定される。
(3). 人工関節置換術時に得られたRAの大腿骨や脛骨の関節軟骨では広範な軟骨細胞死があり、バンヌスで覆われた部位では病理像はさらに複雑であった。しかし、細胞死がなくパンヌスの存在しない部位では、OAで汎用されるMankinスコアの適用が可能であった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Ohta S.,Okada Y.,et al.: "Expression of matrix metalloproteinase 7(matrilysin)in human osteoarthritic cartilage." Lab.Invest.78. 79-87 (1998)

  • [文献書誌] Fosang A.J.,Okada Y.,et al.: "Membrane-type 1 MMP(MMP-14)cleaves at three sites in the aggrecan interglobular domain" FEBS Lett.430. 186-190 (1998)

  • [文献書誌] Yamamoto M.,Okada Y.,et al: "Inhibition of membrane-type 1 matrix metalloproteinase by hydroxamate inhibitors :An examination of the subsite pocket." J.Med.Chem.41. 1209-1217 (1998)

  • [文献書誌] Kawamoto T.,Okada Y.,et al.: "Expression of membrane-bound transferrin-like protein p97 on the cell surface of chondrocytes." Eur.J.Biochem.256. 503-509 (1998)

  • [文献書誌] Okada Y.: "Matrix degradation in osteoclastic bone resorption under pathological conditions." Springer-Verlag Tokyo. 10-21 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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