• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

LECラット肝癌発生の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10470052
研究機関北海道大学

研究代表者

守内 哲也  北海道大学, 医学部, 教授 (20174394)

研究分担者 浜田 淳一  北海道大学, 医学部, 助教授 (50192703)
キーワードLECラット / 転写スリップ / p53 / 肝癌 / polyadenine
研究概要

ヒトの肝癌にはp53癌抑制遺伝子の変異は高率に見出されるのに対し、LECラット肝癌では現在までp53遺伝子の変異はほとんど見出されていない。この現象の説明としては以下の二つの可能性が考えられる。
(1)ラットではp53遺伝子の機能はヒトほど重要ではない。あるいは、
(2)ラットではp53遺伝子に変異がなくてもp53蛋白の機能が異常になる。
この問題を解決する一つの手法として、我々はラットp53蛋白の機能的変異を鋭敏に検出する酵母アッセイ法を用いた。この酵母アッセイの結果、ラットp53のヌクレオチド293から298にあるAが6個連続した(6As)箇所にAが一つ過剰に挿入され、Aが7個(7As)になっているクローンが多数見出された。この現象はゲノムDNAでは見出されず、RNAレベルでのみ見出された。我々は、p53のcDNAからmRNAを合成して同様の実験を行い、この現象がRT-PCRによる技術的なアーティファクトでないことを確認した。この現象は、LECラットの加齢とともにその頻度が上昇する傾向にあるが、特に急性肝炎期にはp53mRNAの15-20%にAの挿入が起こりフレームシフト変異が生じていることが証明された(transcriptional slippage or mutagenesis)。LECおよびLEAラット肝由来不死化細胞の培養液にエタノールを加えて細胞障害を起こさせるとこの転写スリップの頻度が有意に上昇することから、急性肝炎期における肝細胞傷害によりp53蛋白の機能が低下し、過剰銅による酸化的DNA損傷の修復ができなくなり、がん遺伝子に第一のヒットが生じるものと推測される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 守内哲也: "Transcriptional slippage of p53 gene enhanced by cellular damage in rat liver : monitoring the slippage by a yeast functional assay"Mutation Res.. 印刷中.

  • [文献書誌] 守内哲也: "A functional and quantitative mutational analysis of p53 mutations in yeast indicates strand biases and different roles of mutations in DMBA- and BBN-induced tumors"Int.J.Cancer. 83. 700-705 (1999)

  • [文献書誌] 守内哲也: "Dominant negative mutations of the tumor suppressor p53 relating to early onset of glioblastoma multiforme"Cancer Res.. 59. 4765-4769 (1999)

  • [文献書誌] 守内哲也: "Increased E1AF expression in mouse fibrosarcoma promotes metastasis through induction of MT1-MMP expression"Oncogene. 18. 1771-1776 (1999)

  • [文献書誌] 浜田淳一: "Unsaturated fatty acid feeding prevent the development of acute hepatitis in Long-Evans Cinnamon (LEC) rats"Anticancer Res.. 印刷中.

  • [文献書誌] 守内哲也: "Identification of an autoimmune enteropathy-related 75-kilodalton antigen"Gastroenterology. 117. 823-830 (1999)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi