研究課題/領域番号 |
10470055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 敏生 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40291306)
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研究分担者 |
中野 英樹 東邦大学, 医学部, 助手 (30266928)
善本 隆之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80202406)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 自己免疫病 / lpr^<cg>マウス / 糸球体腎炎 / CD4T細胞 / 自己抗体 / スーパー抗原 / リンパ節腫脹 / IL-12p40 |
研究概要 |
自己免疫病モデルマウスMRL-lpr^<cg>(lpr^<cg>)を用いて、Vβ8.2^+T細胞を消失させるウイルス性スーパー抗原を所持するマウス(vSAG+lpr^<cg>)、膜結合性CD4欠損突然変異遺伝子を導入したマウス(CD4-lpr^<cg>)、IL-12p40トランスジェニックマウス(p40+lpr^<cg>)及びIL-1α/βターゲットマウス(IL-1-lpr^<cg>)を作出し、自己免疫病発症におけるT細胞及びサイトカインの役割を追及した。CD4-lpr^<cg>とvSAG+lpr^<cg>マウスでは蛋白尿症や糸球体腎炎の臨床症状が改善し、リンパ節腫脹も軽減した。血中の免疫グロブリン、免疫複合体、抗核抗体、抗DNA抗体などの自己反応性物質及びINF-γの量が全般的に低下し、腎糸球体への免疫複合体沈着も減少した。リンパ節では異常なB220^+CD4^-CD8^-T細胞が著しく減少した。Vβ8.2^+CD4^+T細胞は自己免疫病誘発において重要な役割を果たし、その欠損により自己反応性物質の産生が抑えられ腎臓への沈着が減少する結果、糸球体腎炎が減少することが判明した。p40+lpr^<cg>マウスでは、血中p40が非Tgマウスに比べて数千倍にも達し、代表的自己抗体である抗DNA抗体の賛成派IgG2aサブクラスで有意に抑えられ、IgG1サブクラスではむしろ上昇し、INF-γ産生抑制の傾向があり、IL-12活性の抑制によりTh1細胞活性が抑制されると考えられた。しかし、免疫複合体量にはほとんど影響がなく、臨床症状ではタンパク尿症のわずかに軽減と軽度の延命効果が見られたが、異常T細胞によるリンパ節腫脹、糸球体腎炎と血管炎に対しては全く影響がなかった。IL-1-lpr^<cg>マウスではリンパ節腫脹は予期に反して顕著に促進され、糸球体腎炎、蛋白尿症などの臨床症状は全く改善されなかった。以上の結果から、サイトカインよりもT細胞を標的とする遺伝子治療が効果的と考えて研究を進めているが、現在までに画期的な治療効果を得ていない。
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