研究課題/領域番号 |
10470063
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研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
及川 恒之 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 部長 (80150241)
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研究分担者 |
山元 ひとみ 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (30290977)
根岸 文子 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (40177902)
山田 俊幸 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 主任研究員 (20183981)
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キーワード | PU.1 / Ets / がん遺伝子 / 白血球 / 細胞増殖 / 分化 / アポトーシス |
研究概要 |
われわれはこれまで、マウス赤白血病(MEL)の原因遺伝子であるetsファミリーPU.1がん遺伝子をME1細胞に発現させ、同時に分化誘導剤DMSOで処理すると、分化阻害と増殖抑制とアポトーシスが起こることを見い出し、その分子機構を解析してきた。 本年度はPU.1過剰発現による増殖抑制の分子機構をc-myc,c-myb,c-fosプロモターのレポーターアッセイを行なった。レポーター遺伝子とともにets-1あるいはets-2発現ベクターを導入するとそれらの活性はdose dependentに増強されたが、レポーター遺伝子とともにPU.1発現ベクターを導入するとレポーター遺伝子の活性は逆に量依存性に抑制された。現在、Etsファミリー転写因子間の競合も含め、詳細な分子機構をさらに検討している。 われわれは、PU.1には転写補助因子であるCBPが結合することを見い出したが、欠損変異株を用いたGST pull down assayにより、PU.1の転写活性化ドメイン(74〜122a.a.)とCBPのC末のE1A結合領域とオーバーラップする部位(1283〜1915a.a.)とが結合することが分かった。また、レポーターアッセイからCBPはPU.1の転写補助因子としても作用することが明らかとなった。 Dfferential Display法によりPU.1過剰発現により発現が変動する遺伝子の塩基配列を決定し、遺伝子の同定を行なった。150前後の遺伝子を同定したが、半数は既知の、半数は未知の遺伝子であった。前者には血球細胞の増殖に関与するいくつかの遺伝子や神経系細胞の分化機能に関与するいくつかの興味ある遺伝子が含まれていた。今後、これらの遺伝子をMEL細胞に導入して、上記現象が生じるかを検討する予定である。
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