住血吸虫症のワクチンの開発に資するため、遺伝子操作マウスを用いて住血吸虫感染に対する防御免疫機構について検討した。まず、日本住血吸虫感染においては、γ線照射セルカリアを免疫に用いた場合、DBA/2マウスでは攻撃感染に対する強い防御免疫が誘導だれるのに対し、C57BL/6では全く防御免疫が誘導されないが、このことをC57BL/10やB10D2マウスなどを用いて再度確認するとともに、Th1及びTh2サイトカイン応答について検討した。その結果、DBA/2やBALB/cではIFNγのさん清華認められるのに対し、C57BL/6ではその産生が全く認められないことが判明した。そこで、Th1応答に障害の感染に対する防御免疫について検討したところ、KOマウスでは有意な感染防御が観察されず、脾細胞の免疫応答では、野生型(WT)と比較し、Th2(IL-4、IL-10)の2次応答は同程度に起こるが、IFNγの2次応答は顕著に低下していることが判明した。また、産生されたサイトカイン総体としてのマクロファージ刺激能を、シストソミュラ障害性およびNO産生で検討したところ、いずれも顕著に低下していた。さらに、組換えIFNγでの刺激実験により、マクロファージ自体のシストソミュラ障害能も低下していることが明らかになった。以上の事実から、転写因子IRF-1はマンソン住血吸虫感染に対する防御免疫において必須であることが明らかになった。一方、好酸球増多のみられるIL-5トランスジェニックマウスでは、この免疫方法では日本住血吸虫感染に対する防御免疫を誘導することができなかったことから、in vitroの系で抗体依存性シストソミュラ障害作用をラット好酸球と比較したところ、マウス好酸球は後者に比べ障害作用が弱いことが判明した。また、その理由として、幼虫への接着能並びにペルオキシダーゼやO_2の産生と分泌が低いことが明らかとなった。
|