研究課題/領域番号 |
10470070
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (30121560)
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研究分担者 |
津田 雅孝 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (90172022)
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
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キーワード | 緑膿菌 / 多剤排出 / キメラ排出システム / 基質認識 / マルチコンポーネント / アミノ酸置換 / 発現制御 / 臨床分離株 |
研究概要 |
本年度の研究で、マルチコンポーネント型多剤排出システムの分子機構に関して、次の成果を得た。1)新たに作成した同系統の変異株シリーズから緑膿菌の染色体上にコードされた新規排出システムMexX-MexYと野性株でも発現しているOprMが機能的に共同作業していること、2)特異抗体を用いた免疫学的実験よりMexX-MexY-OprMシステムの発現は野生株では抑制されているが、エリスロマイシン、ゲンタマイシンやテトラサイクリンなどの存在下では誘導的に、かつ一過的に発現すること、また同時にMexA-MexB-OprMシステムの発現上も起こること、つまりこれらの誘導的発現は臨床検査による感受性測定と臨床治療に対する有効性との間の大きな隔たりに関すること、3)一連の排出システムオペロンの欠失株の性状解析から緑膿菌のマルチコンポーネント型排出システムのそれぞれの基質は共通してキノロンであるが、β-ラクタム間では大きな相違があること、4)種々のRNDを発現するプラスミドを構築と性状解析からマルチコンポーネント型排出システムの基質認識はRNDコンポーネントにより担われていること、さらに5)RNDタンパク質をコードする遺伝子を臨床分離株からクローン化し、その性状を調べる実験からRNDコンポーネントのペリプラスム側のループの変異がβ-ラクタムの認識に大きく貢献していることを明らかにした。こうして、排出の分子機構研究のための端緒が開かれた。細菌感染症の克服のためには、これらの研究成果を踏まえたマルチコンポーネント型排出システムの分子機構のさらなる推進が望まれる。
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