研究概要 |
1) ウサギにべロ毒素2型を静脈投与したときの死因について解析するために循環・呼吸機能とrenal sympathetic nerve activity (RSNA)を覚醒下にモニターした。その結果、最終的にvaroreflexが機能しなくなり血圧が低下することが死因に直結すると考えられた。MRIによる検査でも、循環中枢がありvaroreflexの経路が通る延髄に浮腫が認められた。この結果はAnnals of Neurologyに発表される予定である。 2) ウサギに静脈投与したベロ毒素2型が髄液中に移行していることを明らかにした。また髄液中にべロ毒素2型を投与した場合、静脈投与の9分の1の量でウサギが死亡した。ベロ毒素に対する抗血清を髄液中に投与するとウサギの死亡が予防できた。この結果は Microbial Pathogenesis25:139-146(1998)に発表した。 3) べロ毒素には1型と2型がありヒトやマウスに対しては2型の方が毒性が強いが、ウサギに対しては逆で1型は脳幹部や脊髄に親和性が強く毒性が強く現れた。 4) 患者の脳や腎臓には微小血栓が認められると報告されている。べロ毒素がヒトの血小板を凝集するかどうかを調べたが直接の凝集作用は認められなかった。この結果は Thrombosis and Haemostasis80:529-530,1998に発表した。 5) 妊娠中のO157感染が妊婦や胎児にどのような影響を与えるかよくわかっていない。妊娠マウスに致死量以下のベロ毒素2型を投与した。妊娠5日目に投与すると胎児成分は血腫様に変化した。妊娠15日目に投与すると分娩はしたものの新生児を育てることができない母親が多くあらわれた。
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