NS1蛋白に欠損を持つ変異ウイルスdl12とN110を作成し、解析した。dl12は、N端付近の12残基を欠失するが、MDBK細胞でもVero細胞でも温度感受性となり、39℃で、感染後期に、すべてのウイルス蛋白の翻訳が特異的に阻害された。N110は、C端側52%を欠失するが、すべての温度で後期蛋白の翻訳だけが特異的に阻害された。これらのNS1は核細胞質間輸送にも欠損を持っていた。 これら親株と変異株のNS1を、培養細胞内で、プラスミドベクターから発現する系を作成し解析を行った。また、GSTタッグを付けたこれらの蛋白を大腸菌で大量に発現し、アフィニティーカラムで精製し解析を行った。 NS1のC端側52%に主たるリン酸化部位が存在した。 NS1のリン酸化には、細胞内でG-キナーゼの関与が示唆されたが、試験管内リン酸化反応では、精製したA-キナーゼ、C-キナーゼ、G-キナーゼのいずれによっても強くリン酸化された。 ウサギ網状赤血球抽出液を用いたin vitroの翻訳系に、ウイルスmRNA、NS1蛋白を加え、NS1の翻訳調節機能の解析を行った所、後期蛋白M1の翻訳がNS1により特異的に強く促進された。NS1をin vitroで精製したA-キナーゼ、C-キナーゼ、G-キナーゼでリン酸化した所、翻訳調節活性は有意に変化しなかった。
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