NS1蛋白に欠損を持つ遺伝子組換え変異ウイルスの解析等から以下の結論を得た。 1)dl12は、感染細胞内のすべての翻訳を強く阻害すること、異常に細胞質に蓄積すること、欠損部位近傍に活性部位が存在するRNA結合活性が温度感受性と予想される事、宿主蛋白結合部位は正常な事から、最近報告されたGRSF-1等の翻訳調節因子あるいは、翻訳に必須の因子と結合し、不活性な複合体を形成するために、これらを細胞内から枯渇するものと考えられた。 2)N1l0は、異常に細胞核に蓄積すること、後期蛋白の翻訳が阻害されること、さらに宿主蛋白合成の阻害機構が欠損する事から。これらは、NSI蛋白のN端側半分に存在する宿主因子との結合部位が欠損していることによるものと考えられた。 今後、以上の変異NS 1蛋白を利用した、宿主因子の解析と機能の解析は有効である。
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