研究概要 |
1) バキュロウイルス発現系を利用した、ヒトロタウイルス人工空粒子の調製において、精製の段階でやや粒子がこわれやすかったが、塩化セシウム密度勾配法に変えて、蔗糖密度勾配遠心法および蛋白質分解酵素阻害剤カクテルの添加での培養により、ほぼ改善された。 2) 共発現に用いる昆虫細胞として、Sf9細胞からTN-5での発現に切り替たところ、人工粒子の収量が著しく高まった。 3) 非構造蛋白質およびVP8'断片の精製法がほぼ確立され、今後の非構造蛋白質問での解析、および非構造蛋白質と各構造蛋白質あるいは人工空粒子との相互作用を解析する基盤が準備できた。 4) G血清型およびP血清型の異なるヒトロタウイルスの乳飲みマウスの感染におけるDD_<50>が決定された。SA11(サル由来;G3P6)DD_<50>が1.4x10^3であるのに対して、YO(G3P1A),AU-1(G3P3),M318(G3P3),K8(G1P3),KU(G1P1A),69M(G8P4),WI-61(G9P1A),L26(G12P1B)株はそれぞれ1.1x10^4,1.6x10^3,1.2x10^3,1.6x10^3,1.5x10^5,5.3x10^4,3.2x10^5,2.2x10^4であり、乳飲みマウスでの感染防御試験としてヒトロタウイルスが使用できることを確認した。 5) SA11-L2株のマウスへの接種で、乳飲みマウスが死亡する例があり、ロタウイルス感染が下痢以外に何らかの影響を与えていることが確認された。 6) NSP1遺伝子に変異あるいは欠失のあるウイルス株を親株とした場合でも、頻度は低率ながらリアソートメントが成立することを確認した。
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