研究概要 |
1)VP2とVP6あるいはVP2,VP6,VP7の共発現で自己集合した精製人工空一重殻粒子および人口空二重殻粒子を大量に得、まず、VP2/VP6人工空一重殻粒子を用いて、マウスにおける粘膜免疫の効果を検討した。VP2/VP6のみの経鼻接種では免疫原性がきわめて弱いが、大腸菌易熱性トキシン(LT)由来およびコレラトキシン(CT)由来の各種変異粘膜アジュバント、特に変異型135、変異型H44A、リコンビナントLT-Bサブユニットの併用では、血清中および便中のIgG、IgA応答が顕著に高かった。しかし、LT-E122K,CT-E122Kの効果は低かった。免疫後、マウス強毒株(EW)を経口投与し防御能を検討したところ、変異型135,変異型H44Aの併用では、便中ウイルス量の激減を観察した。こうして、人工空粒子を免疫原とした場合、毒性のきわめて低い変異型LTの有用性(免疫原性とともに防御能)を示した点は、今後の本アジュバントのヒトへの応用の可能性を示した点で意義がある。 2)ロタウイルスのリバースジェネテックスの系の確立をめざし、以下の実験を行った。、増殖能の低く、トリプシン依存性が高いヒトロタウイルスKU株をヘルパーウイルスとして用い、増殖能の高く、トリプシン依存性が低いSA11-L2のVP4,VP7遺伝子をMA-104細胞に導入した。さらに、ワクチニアウイルスDIE株由来で、ニワトリ胎児細胞ではCPEを起こすが他の動物細胞には起こさないDIs株にT7ポリメラーゼを導入したDIs-T7を利用し、DIs-T7とT7プロモーター-ロタウイルスVP4あるいはVP7cDNA-D型肝炎リボザイム-T7ターミネーターのプラスミドを調整し、細胞内に導入し、KU株を感染させ、KU-VP7あるいはKU-VP4特異的中和単クロン抗体存在下でスクリーニングする系をほぼ確立した。
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