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1998 年度 実績報告書

インフルエンザウイルスが宿主の壁を越える分子機構の解明とその制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10470081
研究種目

基盤研究(B)

研究機関静岡県立大学

研究代表者

鈴木 康夫  静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00046278)

キーワードインフルエンザ / インフルエンザウイルス / レセプター / シアル酸 / 進化 / ヘマグルチニン / 宿主域 / ウイルス
研究概要

本研究は3年間でインフルエンザウイルスが宿主の壁を越える機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、自然界で分離されたヒトインフルエンザウイルスはその前の宿主であるトリ、ブタなどで維持されているものとどのように異なるのかを宿主受容体認識の面から検討した。その結果、以下の成果が得られた。
1) ヒト、トリ、ブタ、ウマなどから分離されるインフルエンザウイルスの受容体認識はその宿主の受容体シアロ糖鎖に対する選択を受ける。
2) ヒト、トリ、ウマの標的組織、すなわち上気道粘膜、腸管粘膜細胞におけるシアル酸分子種、シアル酸の結合様式はそれぞれ特徴的に異なる。
3) ヒトの上気道のシアル酸分子種はN-アセチルノイラミン酸であり、結合様式は、Neu5Ac2-6Galで、Neu5Ac2-3Gal結合は見いだされないこと、一方、トリ腸管の細胞には、Neu5Ac2-6Galは見いだされず、Neu5Ac2-3Gal結合が存在すること、ブタの上気道には、Neu5Ac2-6GalおよびNeu5Ac2-3Gal結合の両者が存在することなどを見いだした。この結果から、ブタは、トリおよびヒトインフルエンザウイルスの共通の宿主(ベクター)であり、ブタ体内で両者のウイルスが交雑し新型インフルエンザウイルスが新興する可能性を明らかにした。
4) さらに、トリインフルエンザウイルスがヒトへ導入された場合、数年間はトリの受容体認識特異性が維持されるが、次第にヒト上気道に存在するシアル酸結合様式(Neu5Ac2-6Gal)へ結合する性質を持つ型へと選択進化していくことを明らかにした。

  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] Tsuchida,A.: "Simple synthesis of sialyllactose-carrying polystylene and its binding with influenza virus." Glycoconjugate J.No.11 (in press). (1999)

  • [文献書誌] Ryan-Poirier,K.,: "Changes in H3 influenza A virus receptor specificity during replication in humans." Virus Res.56. 169-176 (1998)

  • [文献書誌] Miyamoto,D.,: "Tuaplicin-copper chelates inhibit replication of human influenza viruses" Antiviral Res.39. 89-100 (1998)

  • [文献書誌] Sato,K.: "Specificity of the N1 and N2 sialidase subtypes from human influenza A virus for naturally occurring and synthetic gangliosides." Glycobiology. 8(6),527-532. 527-532 (1998)

  • [文献書誌] Kaneda,K: "Infectivity and arthritis-induction of Borrelia japonica on SCID mice and immune competent mice: possible role of galactosylceramide binding activity on initiation of infection" Microbiol.Immunol.42(3). 171-175 (1998)

  • [文献書誌] Kamitakahara,H.: "A lysoganglioside/poly-L-glutamicacid conjugateas a picomolar inhibitor of influenza hemagglutinin." Angew.Chem.Int.37(11). 1724-1728 (1998)

  • [文献書誌] osaka,Y.: "Binding of influenza and paramyxoviruses to group B Streptococcus with the terminal sialyl-galactose linkage. ,169-174(1998)." J.Electron Microscopy. 47(2). 169-174 (1998)

  • [文献書誌] Ikeda,K.: "Chemoenzymaticsynthesis of an N-acetylneuraminic acid analogue having a carbamoylmethylgroup at C-4 as an inhibitor of sialidase from influenza virus." Carbohydrate Res.312. 183-189 (1998)

  • [文献書誌] 鈴木康夫: "インフルエンザウイルスの宿主域変異の分子機構.," ファルマシア. 34. 678-683 (1998)

  • [文献書誌] 鈴木康夫: "インフルエンザウイルスと受容体糖鎖認識" 蛋白質核酸酵素,特集:糖鎖生物学. 43,No.12. 1112-1118 (1998)

  • [文献書誌] 鈴木康夫: "微生物学実習提要(東京大学医科学研究所学友会編、丸善)" ウイルスの酵素活性測定,ノイラミニダーゼ, 214-215 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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