研究概要 |
B型インフルエンザウイルスのHAとNAの相互作用についてより詳細な検討をおこなった。B型インフルエンザウイルスのNAのtsー変異株(ts-7)を用いた。またB/Lee/40,B/Kanagawa/73のHA,NA遺伝子をpME18S発現ベクターに組み込んだ。細胞としてMDCK細胞とCOS細胞を用いた。NA活性阻害剤としてZanamivirを用いた。その結果(1。MDCK細胞にts-7を感染し高温で培養するとHAD活性は見られないが、コレラ由来のシアリダーゼを加えるとHAD活性が見られた。(2。COS細胞でHA遺伝子を発現させてもHAD活性は見られないが、NA遺伝子を共発現させるか、シアリダーゼを加えるとHAD活性が見られた。(3。部位突然変異を導入したHA蛋白質の解析からHAD活性に影響する糖鎖は161と217番目のアルギニンに結合していることがわかった。(4。B型ウイルスをMDCK,COS細胞に感染しZanamivir存在下のもとで培養すると両細胞のNA活性はGG167の量に比例して減少するのに対してHAD活性はMDCK細胞では減少するのに対して、COS細胞では全く減少しなかった。これらの結果からB型インフルエンザウイルスのHAがHAD活性を示すにはMDCK,COS細胞共に脱シアル酸反応を必要とするがZanamivirにたいする反応の相違から、脱シアル酸反応がおこる細胞内部位が2つの細胞で異なることが示された。Zanamivirは細胞内に入らないことが証明されているので、脱シアル酸反応はMDCK細胞では細胞表面で起こり、COS細胞では細胞内で起こることが推定された。
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