研究課題/領域番号 |
10470082
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中島 捷久 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40012778)
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研究分担者 |
飯塚 成志 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30222821)
中島 節子 国立公衆衛生院, 微生物学部, 室長 (80124402)
信澤 枝里 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (90183904)
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キーワード | インフルエンザウイルス / 粒子形成 / HA蛋白質 / ノイラミニダーゼ / GG167 |
研究概要 |
インフルエンザウイルス粒子形成を血球凝集素(HA),ノイラミニダーゼ(NA)および膜蛋白質(M1)の相互作用の観点で検討した。1)インフルエンザウイルス特異的NA活性阻害剤「GG167」存在の下でインフルエンザウイルスをMDCK細胞に感染し放射能標識したHAを免疫沈降後、2次元電気泳動法により展開し、pH移動度によりHA上のシアル酸付加およびその切断を検討した。正常にウイルスが増殖する条件では阻害剤存在下ではシアル酸は付加したままであったが、25Cで感染細胞を保温することにより蛋白質の膜移行を阻害すると、ゴルジ体上でHAの糖鎖は切断されたという結果を得た。したがって正常な感染状態ではHAとNAの相互作用はゴルジ体または輸送小胞体上ではおこなわれず、細胞表面でおこなわれることが生化学的に証明された。2)免疫電顕法を用いて、抗HAと抗NAの金粒子を変えることによりゴルジ体上でのHAとNAの存在状態を検討しようと努力したが、充分な成果はえられていない、引き続き努力するつもりである。3)M1の温度感受性変異株を用いてNAによるHA上のシアル酸切断を検討した。阻害剤存在下では39Cの培養でHA上のシアル酸の切断はおこなわれないが、阻害剤なしではHA上のシアル酸は切断された。39Cでの培養においてM1蛋白質は核に移行した後、そこに留まっているが、HA,NAは膜に移行した。したがってウイルス粒子形成の際、膜表面上でのHAとNAの相互作用はM1の膜への移行を必要とはしないことになる。4)HAのニワトリ血球を認識できなくなったウイルスの存在からスタートした研究であったが、なぜ最近のHAがニワトリ血球をにんしきできなくなったのか、糖鎖再構成の検討から、シアル酸に結合する糖鎖にたいする認識の変化であることがわかった。
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