研究概要 |
1.ヒトマクロファージ、樹状細胞は活性化ステージ(例えばGM-CSF6日間培養)に応じてCD46-SHP1複合体を形成する。 2.CD46-SHP1複合体にはCD9、α3β1インテグリン,moesinが共存する。 3.この複合体形成前はこれらの免疫担当細胞は麻疹ウィルス感受性が高く合胞体形成を誘起するが、複合体形成後はウイルスの複製が強く阻害される。 4.NO産生、IL-12産生の増強がCD46複合体形成時のヒトマクロファージで見られる。 NOの産生がウイルス増殖阻害とパラレルである。ただし、ウィルス株特異性があり、KO株が強力にNO産生の細胞応答を惹起する。CD46のdown-regulationもKOのみでおこる。 5.KO株のH proteinのアミノ酸、451Ala,473Leuがこの細胞応答に重要である。V451A, I473Lの通常株ではNO産生もIL-12産生も誘起しない。 6.NO産生はCD46のC3b ligation,抗体cross-linkによっても誘起される。ウイルスの成分、複製は絶対的な必要要因ではない。 以上の結果と麻疹ウィルスによる一過性免疫抑制の関連は未だ直接証明が得られていないが、i)CD46がシグナル伝達レセプターとして機能すること、ii)麻疹ウィルスは株に依存してマクロファージ系の機能を変調せしめること、が明らかになった。麻疹ウィルスの免疫抑制はCD46のシグナルに依存するかも知れない。以上の点を別添の論文に公表した。
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