研究課題/領域番号 |
10470094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
日下 幸則 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)
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研究分担者 |
長澤 澄雄 福井医科大学, 医学部, 助手 (80293413)
吉田 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (00303371)
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
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キーワード | ニッケル / コバルト / 炎症 / 活性酸素 / 亜硝酸 / DNA / 組織障害 |
研究概要 |
喘息や肺炎などのアレルギー性呼吸器疾患の一因に、ニッケルやコバルトなどの感作性金属がある。これらは、肺線維症、肺癌の起因物質でもあり、発症には個体の感受性も示唆されている。本研究では、申請者が作成した金属肺の動物モデル(ラット)において、炎症、線維増殖、発ガンに関与する一酸化窒素(NO)、活性酸素の役割を明らかにすることを目的にしている。また、アポトーシスの関与を調べ、アレルギー性呼吸器疾患における役割の解明を求める。一方、損傷の指標である肺組織中のDNA断片化も調べることを目的にした。 三年間の計画の中で、第一年目は、金属肺のメカニズムとして、活性酸素による組織障害の可能性、その結果としてのDNA障害の有無を調べた。ニッケル肺、コバルト肺それぞれにおいて炎症の最も盛んな段階で、肺胞洗浄液中の亜硝酸濃度を調べた。NOについては、金属肺から肺胞洗浄により得られた免疫担当細胞を培養し、上清中の硝酸を測定するグリーン法をとった。また、ニッケル、コバルトに曝露された肺組織から産生されるフリーラジカルがDNAを損傷する指標として、プラスミドDNAアッセイを行った。 超微細なニッケル、コバルトのラット気管内一回注入にて、持続的な肺炎がもたらされていることを、肺胞洗浄液中の細胞数と分画、LDHなどの逸脱酵素の濃度などにより確認した。回収した肺胞洗浄液中の細胞を培養し、その上清中に存在する亜硝酸濃度を計った。すると、投与したニッケルの量に比例して、亜硝酸が生成されていることがわかった。 以上から、ニッケル、コバルトは、活性酸素、特にNOを介して、DNAを含む組織を障害することが示唆された。
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