研究課題/領域番号 |
10470094
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
日下 幸則 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)
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研究分担者 |
吉田 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (00303371)
佐藤 一博 福井医科大学, 医学部, 講師 (40262620)
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
菅沼 成文 福井医科大学, 医学部, 助手 (50313747)
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キーワード | ラット / ニッケル / コバルト / 炎症 / 活性酸素 / 線維化 / TNF-α / DNA損傷 |
研究概要 |
超微細なニッケル、コバルト金属粉末の経気道的な一回投与により、持続的肺炎を主体とする金属肺モデル(ニッケル肺、コバルト肺)をラットにおいて作成した。恐らくはその持続性炎症の結果、早くも投与1ヶ月後に於いて、肺の線維化が進行していることを、病理学的に確認した。 同時に、急性炎症がピーク(投与1日後)を超して、亜急性に移行する頃(3日後)を選んで、ニッケル肺ラット、コバルト肺ラットの肺胞洗浄を行った。その液中に、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)が、生理食塩水のみを投与したコントロールに比べ、有意に多く遊離されていることがわかった。さらに、ニッケル肺において、コバルト肺よりも多かった。なお、無処置ラットから得た肺胞マクロファージを、試験管内にて、コバルトと培養して、その濃度、培養時間を変えつつ、上澄みの中のTNF-αを測定したところ、優意な遊離が認められた。 従って、TNF-αの高値なることが、ニッケル肺ににおいてコバルト肺よりも重度な炎症を起こさしめ、かつ持続させることが示唆された。直接の実験事実は未だ得ていないが、TNF-αが、活性酸素の算出に関わる遺伝子の発現を促すのであろう。そして、活性酸素がさらに組織やDNAの損傷をもたらすものと推測される。この機序を研究する予定である。 なお、従来のウィスター系のみならず、アレルゲンに感受性ある茶色ノルウェー系(Brown Norway系)ラットを用い、その肺胞マクロファージに水銀を用いて培養する系を、予備的に確立した。ニッケル、コバルトを用いる予定である。
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