研究概要 |
超微細なニッケル、コバルト金属粉末を経気道的に一回投与することにより、持続性肺炎を主体とする金属肺モデル(ニッケル肺、コバルト肺)をラットにおいて作成した。具体的には、7ないし8週齢のウィスター系雄性ラットに、1mgの超微細なニッケルまたはコバルト金属粉末を気管内注入した。既に、肺炎、肺線維化は、病理学的に確認してある。 投与後の1,3,7日目に、過剰量のペントバルビタールを腹腔内に投与して屠殺した。肺を気管支と共に取り出し、10%ホルマリン液で保存した。組織のパラフィン泡埋ブロックから薄切切片を作り、ポリーL-リジンでコーティングしたスライドガラスに接着させた。シランコートスライドガラス上に進展した4μmパラフィン切片をキシレンで脱パラフィンし、エタノール系列により親水処理した後、最後に蒸留水に5分間浸した。反応は正常血清にて5分間室温でブロッキングした後、pH7.2のPBSで8倍に希釈した一次抗体の抗Bcl-2抗体(DAKO,Denmark)を用い、4℃の氷室に切片を静置した。翌日、PBSにて5分間3回洗浄後、100倍に希釈したPBSにて2分間3回洗浄後、DAB発色し、hematoxylineで染色した。 その結果、肺のマクロファージ、肺上皮細胞のBcl-2蛋白表現は、ニッケル、コバルト投与で、コントロールに比し、高かった。従って、コバルト、ニッケルの強い毒性、肺線維化能は、肺のマクロファージおよび間質細胞内で強いBcl-2蛋白表現と関連あることが示唆された。
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